Weingut Frank Brohl
2019年9月9日(月)
モーゼル川中流域、プンドリッヒ。モーゼル川は激しく蛇行しているが、プンドリッヒは、ベルンカステル=クースから30キロほど下流の、モーゼル川がヘアピンカーブのように大きく曲がっている所の内側に位置する。この村のメインストリート、ハウプト通りのモーゼル側は、教会や古い街並みが残っており、可愛らしい木組みの家も散見される。Frank Brohlは、ハウプト通りをモーゼルの反対側に入ったところにあったが、約束の時間よりも1時間半ほど早く着いたため、街を散策。ちょっと歩くとわかるが、この村にもワイナリーが沢山ある。そんな中に、有名なClemens Buschがあったので記念撮影。モーゼル河畔は綺麗に公園のように整備されていて、ベンチに座っているだけで気持ちがいい。目の前に、銘醸畑Pündericher Marienburgが広がる丘と、その上に建つマリエンブルク教会が見える。いや、素晴らしい景色。
すっかりくつろいで、約束の午後1時にFrank Brohlを訪ねた。ちょっと大きめのお家のような感じ。黄色い壁が可愛いい玄関の横に、「JuttaとFrank Brohlの醸造所」と書かれた陶版が掲げられている。呼び鈴を押すと、奥様のJuttaさんが笑顔で迎えてくれた。
Frank Brohlは、ビオワイン生産の先駆者だ。1983年から一貫して有機農法に取り組んでいる。1984年には、有機農法に取り組むモーゼルの生産者団体OINOS(ギリシャ語でワインの意)に、創設メンバーとして参画した。OINOSメンバーは、その後、ラインヘッセンやプファルツ、バーデンの生産者とともに、ドイツ唯一のビオワイン生産者団体ECOVINを設立することになる。ちなみに、OINOSメンバー8醸造所のうち、2つがプンドリッヒの醸造所。Clemens BuschとFrank Brohlだ。
さて、Juttaさんが案内してくれたのは、グリーンの壁が鮮やかな、シンプルな家具で統一された部屋。大きめのテーブルと椅子があり、腰掛けると、ワインの好みを聞かれた。リースリングの辛口をお願いする。
Juttaさんが最初に注いでくれたのはHeartbreakと名付けられたリースリングトロッケン。
あっ!これ香りが華やか。それにしっかりとした骨格のある味わい。そして、何というか、混じり気のない透明感がある。
「うちの売れ筋ワインなの。去年は暑くて難しかったんだけどね」とJuttaさん。
次はアルテレーベン。これさらにドライな感じ。そして後味にミネラル感。やはり透明感がある作りで、これはFrank Brohlの特徴かなと思う。
「これは樹齢100年以上、1889年に植えられたブドウなのよ。色々と探して、Reiler Goldlayという畑にあるのを見つけたの。今のクローン樹に比べ、土の特徴がよく出ていると思うわ」
そして、Pündericher Marienburgのシュペートレーゼトロッケン。おおっ!こりゃまた違う感じ。桃のような香りでボリューム感がある。そして、これもまたスッキリとした透明感のようなものを感じる。
「Rosenbergという畑のワインなの。Pündericher Marienburgの一部だけど、区画整理で畑がまとめられる前は、Rosenbergという単一畑だったのよ」
Brohl家は、急斜面にあるこの歴史ある単一畑を整備し、復活させたとのこと。
いや、それにしても、ビオの開拓者であるとともに、自根の古樹を探したり、昔の畑を復活させたりと、Brohl家の、何というか、あるがままの自然へのこだわりはすごいな。一方、醸造のための新しい設備の導入も進めているとのこと。
新しい技術もあわせ、天候も含めたテロワールとブドウの個性をありのままに表現しようとするBrohl家のワイン、こりゃ毎年飲まないとだな。
試飲したワイン
2018 Hochgewächs „Heartbreak” Riesling trocken
2018 Alte Reben 1889 Riesling Kabinett trocken
2018 Pündericher Marienburg Riesling Spätlese trocken Rosenberg
畑面積:7ha
生産量:40,000本/年
上級畑:Pündericher Marienburg、Pündericher Nonnengarten、Reiler Goldlay
土壌:風化粘板岩、粘板岩
栽培種:75%リースリング、12%リーヴァナー、10%ヴァイスブルグンダー、3%シュペートブルグンダー
BIO、ヴィーガン