Weingut Norwig

Herta Norwig von Weingut Norwig
Hertaさん

2024年8月14日(水)
モーゼル川沿いのブラウネベルク村から山の方に車を走らせると、5分ほどでブルゲン村に入る。程なく、右手に側面を白く塗った石造りの建物が見えてきた。その壁面には”Weingut Norwig”の文字とロゴマーク。着いた着いたと建物に近づくと、その手前に門がある。門から敷地内に車を滑り込ませた。車を降りると、ご婦人が近づいてきた。奥様のHerta Norwigさんだ。「待ってたわよ!こちらへどうぞ」
Weingut Norwigは、何世代にも渡る長い歴史を持つ家族経営のワイナリーだ。現在当主を務めるIngo Norwigさんは、1998年にワイナリーを引き継いで以来、ワインの品質の向上に絶え間ない努力を積み重ねてきた。その考えの中心は、自然と共にあること。生物多様性を確保するため、ブドウ畑のほど近くに6ヘクタールの花畑を耕作している。ここに生息したり集まってくる昆虫や鳥類、小動物などが、ブドウの栽培にとても良い影響を与えているとのこと。言うまでもないが、ブドウの栽培は環境に優しい方法で行われ、全て手積みで選別された収穫がなされている。醸造は、優しいブドウの処理と、澱とともに長期間熟成させるやり方を行うなど最新の技術が取り入れられている。また、2015年のヴィンテージから、全てのワインはヴィーガンとなっている。

Weingut Norwig

さて、Hertaさんは、敷地の奥の白い建物に案内してくれる。敷地内のあちこちにプランターや鉢植えのお花がある。建物の2階のベランダにもお花が綺麗に飾られていてとっても良い感じ。Hertaさんが扉を開けてくれ、中に入るとそこはタイル張りで奥にカウンターが見える。隣の部屋にはワインが山積みになっている。試飲もできるが、様々な作業を行えるスペースになっているようだ。Hertaさんがカウンターの後ろに回り、試飲開始。
ワインリストを眺めていて気がつくのは、そのリーズナブルな価格だ。自然を活かしたブドウ栽培で良いブドウを選別していたりするのに、殆どのワインが10ユーロ以下!これ、あり得ないだろーと思いながら、リースリングの辛口をお願いする。「では、ベーシックなものをどうぞ」と注いでくれたのはリッターワイン。うん、柑橘系の良い香り。ジューシーな果実味がフレッシュ。いや、これリッターワインとは思えない美味しさ。「毎日飲むならこれが一番よ」とHertaさん。

Weingut Norwig

次に注いでくれたのは”NOVUM”という名を冠したシュペートレーゼ。「これは地元のハーゼンロイファー(駆けるウサギ)という畑のブドウよ。すぐ近くにあるんだけど、粘板岩土壌で日当たりが良いのよ」後で知ったが、このハーゼンロイファーという畑、様々な方向から日が当たり、四方にブドウの木が植えられているヨーロッパ唯一の畑と言われているとのこと。日当たりの良さは半端ないって訳だ。あー、これも柑橘系の良い香り。レモン、グレープフルーツ、洋梨。鼻に抜けるハーブ。ドライな果実味が美味しい。そしてキリッとした酸が良い感じ。凝縮感のあるしっかりとした味わい。

Riesling Weine aus Weingut Norwig

「次はこちらをどうぞ。リースリングのトロッケンはこれで最後よ」えっ、こんなに沢山ワインがあるのにもう最後?って思ってワインリストをよく見ると、確かにリースリングのトロッケンは3種類。リストには40種類ほどのワインやゼクトなどが並んでいるが、改めて見ると、多くのブドウ種で様々な味わいのワインが造られており、ヴァラエティに富んでいる。Hertaさんが注いでくれたのはアウスレーゼ。「これは有名な畑、ブラウネベルガー・ユッファーのブドウよ。モーゼル川沿いの南向きの斜面にあるのよ」あー、これ香りが強い。グレープフルーツ、洋梨、桃。ハーブのニュアンス。滑らかな舌触り。凝縮感がある果実味がジューシー。溶け込んだ酸が心地良い。ミネラル感を感じる。長い余韻。いや、美味しい。

Weingut Norwig

折角なのでファインヘルプをお願いすると、Hertaさんは”NO”という名のシュペートレーゼを注いでくれた。”NOVUM”と同じハーゼンロイファーのブドウとのこと。うん、これも柑橘系の良い香り。砂糖のような甘い香りもする。ジューシーな果実味。ファインヘルプならではの甘みと酸味が絶妙なバランス。これ、グイグイ飲んでしまいそうになるワインだ。
それにしても、どのワインにもしっかりとした味わいと個性があり、丹念に育てた熟したブドウを丁寧に醸造していることが感じられる。こんなに美味しいワインをこんなにリーズナブルな価格で楽しめるとは、なんと幸せなことか!次に訪れるときには、シャルドネやグラウブルグンダー、シュペートレーゼ、それにゼクトも試飲せねば。Ingoさんの自然と共にあるという哲学は、今後益々強みになっていくに違いない。Norwig家のワイン造りの未来は明るい!

Weingut Norwig

試飲したワイン
2022 Riesling trocken
2022 Riesling Spätlese “NOVUM“ trocken, Burgener Hasenläufer
2019 Riesling Auslese trocken, Brauneberger Juffer
2023 Riesling Spätlese „NO“ feinherb, Burgener Hasenläufer

畑面積:8ha
生産量: ー
上級畑:Burgener Kirchberg、Burgener Hasenläufer、Veldenzer Kirchberg、Brauneberger Juffer
土壌:WK/粘板岩、BH/粘板岩・腐植土、VK/青色粘板岩、BJ/青灰色粘板岩、鉄鉱石、粘土
栽培種:リースリング、リーヴァナー、グラウブルグンダー、シャルドネ、シュペートブルグンダー、ドルンフェルダー、その他

ノルヴィック醸造所ホームページ

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