Weingut Scholtes

Frau und Herr Scholtes von Weingut Scholtes
MargretさんとRainerさん

2024年8月14日(水)
モーゼル川中流域のデッツェムは、ベルンカステル=クースとトリアーのちょうど中間くらいのところにある小さな村だ。モーゼル川沿いを走る国道53号線から橋を渡りモーゼル右岸に行くと、程なくデッツェムの街中に差し掛かる。この村、トリアーとビンゲンを結ぶローマ街道の10番目のマイルストーンが置かれていたとのこと。なので名前の由来はラテン語の10(decem、デケム)。そんな歴史を大事にしているのか、この村にはローマ時代のマイルストーンのレプリカのほか、史跡がちらほら散見される。テルニヒャー通りに入ると、すぐにWeingut Scholtesの看板が見えた。着いた着いた。ところで、今日は、事前に連絡をしていたケラーマイスター兼運営責任者のMichaelさんから、「僕は休暇でいないけど、父が居るからね」とメッセージをもらっていた。とりあえず玄関の横の呼び鈴を押すと、奥様のMargretさんが現れた。「あら、まだ夫が帰ってきていないけど、まあいいわ。テイスティングするのよね?こちらへどうぞ」と笑顔で答えてくれた。

Vinothek von Weingut Scholtes

Weingut Scholtesは何世代にも渡る家族経営のワイナリーだ。当主のRainerさんによれば、ブドウの栽培には、自然で品質重視のアプローチとなるよう最大限の注意を払っているとのこと。そしてワイン造りの軸は、穏やかな処理と、十分な忍耐と熟成の時間であるとのこと。この哲学はしっかりとMichaelさんに受け継がれており、近年、そのワインの評価は年々高まっていいる。
さて、Margretさんは、玄関から出て建物の裏手に案内してくれる。そこには別棟があり、階段を数段降りたところにガラス張りの扉がある。Margretさんに導かれ中に入ると、おぉ!そこはアーチ型の天井を持つ石造りのワイン貯蔵庫のような空間。巧みにデザインされていて、とてもモダンなヴィノテークとなっている。「椅子にかけて待っててね。ここでテイスティングをするから」

Vinothek von Weingut Scholtes

Margretさんはワインリストを見せてくれる。まずはグーツワインからリースリングのトロッケンをお願いした。うん、柑橘系の香りがフレッシュ。ジューシーな果実味に活き活きとした酸。美味しい。次もグーツワインからヴァイスブルグンダー。あー、これ香りが強い。柑橘系の香りに加え、何というか、酵母のような香りがする。口に含むと、柔らかな口当たり。ジューシーで優しい味わい。「これは自然発酵なのよ。ステンレスタンクで醸造しているの」
と、ここでRainerさんが帰ってきた。
「ようこそ!日本から来たんだよね。色々試してみてね」こちらもご挨拶をすると、ちょうど別のお客様がやってきた。「あちらの対応をするけど、分からないことがあったら聞いてね」とRainerさんはそちらのテーブルへ。ご夫婦で上手に役割分担している。

Weine aus Weingut Scholtes

次はオルツワインのリースリング。柑橘系の香りにスパイスのニュアンス。飲んでみると、これ力強い。しっかりとした味わい。酸もキリッとしている。穏やかな苦味からくるコクが良い感じ。「これもステンレスタンクで自然発酵よ」とMargretさん。
そしてラーゲンワイン。
「これはトルニッシャー・リッチュのリースリングよ。私たちのワイナリーでの最初のヴィンテージなのよ」あー、良い香り。柑橘系に洋梨、桃。ハーブのニュアンス。濃厚な果実味。深みが感じられる。酸味と果実味が尾を引く長い余韻。いや、美味しい。
次にMargretさんが注いでくれたのはポリッヒャー・ヘルドのリースリング。
「この畑は最大80%の傾斜があり、日当たりがとても良いのよ」おー、何だかこれ複雑な香り。柑橘やアプリコット、桃といった果実の香りにスパイスやハーブの香り。凝縮した果実味。コクがあり、味わいも複雑。様々な味わいがあるが、全体としてとてもバランス良くまとまっている。

Vinothek von Weingut Scholtes

ここまでくれば、是非”GG”を飲まねばと、デッツェマー・マクシミナー・クロスターレイのリースリング”GG”をお願いした。
「このワインは樹齢50年以上のブドウで造っているのよ。アカシアの木ダルで自然発酵しており、澱とともに10ヶ月熟成しているの」うん、香りが良い。柑橘に洋梨、桃。ハーブ、スパイスのニュアンス。飲んでみると、とても濃厚な果実味。そしてしっかりとした酸味が骨格を造っている。厚みを感じる。穏やかな苦味とミネラル感。味わいに深みがある。いや、幸せ。このワイン、ブドウの収穫は2021年の10月29日とのこと。いや、遅い。そこまで待つのってなかなか出来ない。細心の注意を払ってギリギリのタイミングで収穫したに違いない。超完熟したブドウがこの厚みを生み出しているんだと分かる。

Glückskind Riesling 2021 aus Weingut Scholtes

ここでMargretさんがグリュックスキンド(幸せな子供)という名の可愛いラベルのワインを紹介してくれた。
「これ、1本買うと5ユーロが子供の支援に寄付されるのよ。娘のAnnaが考えたの。良いでしょ」とにっこり笑顔。いや、面白い。未来を担う子供たちをサポートするのは、ワイン産業にとっても大事なことだ。小さなワイナリーにも出来ることがあるんだよ、とばかりに具体的な取組を軽やかに実践しているのは凄いことだ。
Scholtes家のワイン、ここまで飲んでみて分かるのは、どのワインにも明確なキャラクターがあるということだ。醸造のやり方や畑により、それぞれに独自の味わいを持っており、これが活き活きとした果実味と酸により一層の輝きを見せている。これ、やはり丁寧なブドウ栽培の賜物だと思う。Rainerさんは、「ブドウの品質はブドウ畑でしか上げることが出来ない」と言っているが、それぞれのブドウ畑で最大限の努力をしているからこそのワインのキャラクターなんだと思う。Scholtes家の哲学と伝統を引き継ぎ、さらに新しいアイディアを注入しているMichaelさんのワイン造り、ますます発展していくに違いない。これからも注目していかねば!

Weingut Scholtes

試飲したワイン
2023 Riesling trocken
2023 Weissburgunder trocken
2023 Detzemer Riesling „vom steilen Berg“ trocken
2023 Thörnicher Ritsch Riesling fast trocken
2022 Pölicher Held Riesling trocken
2021 Detzemer Maximiner Klosterlay Riesling trocken „Großes Gewächs“

畑面積:12ha
生産量: ー
上級畑:Detzemer Maximiner Klosterlay、Pölicher Held、Im Königsberg、Thörnicher Ritsch
土壌:DMK/灰色粘板岩・石英岩・一部鉄分、PH/青灰色粘板岩、IK/青灰色粘板岩、TR/灰色粘板岩・風化粘板岩
栽培種:85%リースリング、15%リーヴァナー、ヴァイスブルグンダー、シュペートブルグンダー、ドルンフェルダー等

ショルテス醸造所ホームページ

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