Weingut Sohns

Herr Pascal Sohns von Weingut Sohns
Pascalさん

2023年8月18日(金)
今日はトリアーからラインガウに向かう。天気も良く、アウトバーンの高速走行は極めて順調で快適。2時間ほどで、目的地であるWeingut Sohnsのあるガイゼンハイムに到着。と思いきや、、、Weingut Sohnsに至るフォン・レーデ通りが工事中で通行止めになっている。おいおい、これ、どうやって行けばいいんだよとGoogleマップを凝視して迂回路を探す。そうこうしているうちに、時計の針は周り、お約束の11時まであと10分。うーむ。仕方がないので車を停めて歩いて行くことにした。いや、暑い。1.2キロの全く日陰がない道のりは少々こたえたが、20分程で真っ白な近代的な建物が見えてきた。壁には「Weingut Sohns」の文字。汗だく。呼吸を整えて呼び鈴を押すと、お約束をしたPascal Sohnsさんが笑顔で現れた。「やあ、待ってたよ!」
Weingut Sohnsは、1933年創業。鍵職人であったJakob Sohnsさんがブドウ畑を購入したのが始まりだ。ブドウ栽培とワインの醸造は副業であったが、ブドウ畑は徐々に拡大され、1945年、Jakobさんは息子のOttoさんとともに、ワイナリーを専業のビジネスとした。1969年にOttoさんが2代目当主としてワイナリーを引き継ぐ頃には、ブドウの栽培面積は3ヘクタールとなる。Ottoさんは、奥様のBarbaraさんと共に、ボトルワインの製造販売を主とする今に至るビジネス基盤を確立した。Ottoさんの息子のErichさんは、1983年にブドウ栽培の教育を修了すると、すぐにワイナリー経営に参画した。畑を6ヘクタールに拡大し、奥様のSabineさんと共にシュトラウスヴィルトシャフト(ワインレストラン)も開業。4代目になるPascalさんは、スポーツ経済学などを学んだ後、ブドウ栽培の教育を受け、2012年からワイナリーの経営に参画している。Erichさんと共に、葡萄栽培や醸造の最新の知見を取り入れ事業を拡大。葡萄畑の栽培面積も10ヘクタールとなった。Pascalさんの奥様のDeniseさんも経営に参画しており、盤石の家族経営体制。2017年には、最新の設備を導入した新しい建屋が完成するなど、発展を続けている。

Weingut Sohns

Pascalさんは、ワイナリーの中に招き入れてくれると、そのまま2階に案内してくれた。階段の途中に代々の家族写真が飾られている。2階に上がると、そこは白が基調のシンプルで明るい空間。白木の飾り棚にワインがディスプレイされている。10人ほどが座れるテーブルセットがあり、部屋の一角にはバーカウンターがある。するとPascalさんは、「テラスに出てみない?」と扉を開けてくれる。そこは広いルーフテラス。うわ、良い眺め!目の前には一面に開けたブドウ畑。「この畑はガイゼンハイマー・マウアーヒェンだよ。うちもここでブドウを栽培しているんだ。この景色を眺めながらワインを飲むのは最高だよ」とPascalさん。いや、確かに。思わず見入ってしまう広大な眺めだ。

Blick von der Terrasse von Weingut Sohns
ルーフテラスからの眺め。広大!

さて、部屋に戻って試飲。ワインリストを見ると、ゼクトに目が止まった。4種類リリースされている。Pascalさんの名を冠したCuvée Pascal Brutをお願いした。うーん、良い香り。柑橘系、梨、ヴァニラの香りにハーブのニュアンス。口に含むと、きめ細かな泡が心地良い。辛口の果実味の後味が爽やか。「これはピノ・ノワールとピノ・ムニエが80%で、リースリングが20%。熟成期間は16ヶ月だよ」なるほど。シャンパンではピノ・ノワールとピノ・ムニエにシャルドネが入ってくるところ、リースリングが入っているのが面白い。もしかしたら、フルーティな香りが立つのはリースリングのおかげかもしれない。こうなると、もう一つのCuvée Pascal、Brut Natureも頼まないわけにはいかない。「こっちはシュペートブルグンダー、ヴァイスブルグンダー、リースリングのキュヴェだよ。熟成は42ヶ月」おー、これも良い香り。ベリー系の果実に白い花の香り、そしてゼクト特有の酵母の香りが良い感じ。辛口のエレガントな果実味がきめ細かな泡と相まってスムーズ。そして長い余韻。いや美味しい。
次は白ワイン。まずはグーツワインのヴァイスブルグンダーをお願いした。うん、香り豊か。柑橘系に白い花。とてもフレッシュで柔らかさもある。そして上級畑のヴァイスブルグンダー。「これはガイゼンハイマー・メンヒスファッドという畑で、良いブドウを手摘で選別しているんだ。小さなオーク樽で12ヶ月熟成しているんだよ」メンヒスファッドって、修道士の道って意味だ。ラインガウのこの辺りには、ヨハニスベルク修道院など昔から大きな修道院があったから、きっと修道士の通り道だったに違いない。土壌は石灰質のレス、レスレームとのこと。柑橘系の香り。木樽からくるスモーキーな香りが良く調和している。飲んでみると、柔らかな感触に力強い果実味。骨格があり、ミネラル感を感じる。とっても美味しい。

Vinothek von von Weingut Sohns

そしてリースリング。まずは、地元ガイゼンハイムのオルツワインの辛口をお願いした。柑橘系の良い香り。飲んでみると、とてもフレッシュで活き活きとしている。熟した果実味に酸がしっかりと骨格を作っており、メリハリが効いた感じでとても良い。次に畑名ワイン。Pascalさんが最初に注いでくれたのは、有名なシュロス・ヨハニスベルクのすぐ近くにある畑、ヴィンケラー・ハーゼンシュプルングのトロッケン。「この畑はレスやレスレームの土壌だよ。ヴォリュームがあり強い酸を持ったワインが出来るんだ」あー、何だか爽やかな香り。柑橘系やアプリコット、桃、白い花の香り。鼻に通るようなハーブ、完熟した果実味にしっかりとした酸が調和している。そしてミネラル感。そして、Pascalさんはロルヒホイザー・セリグマッヒャーのトロッケンを注いでくれる。「これは灰色粘板岩土壌の畑だから、また違った味わいだと思うよ」うん、これ、フローラルな香り。白や黄色の花。柑橘、梨、アプリコットの香りにハーブのニュアンス。飲んでみると、しっかりした辛口。好きな感じ。熟した果実味にしっかりとした酸が骨格を作っている。そしてミネラル感。いや、美味しい。「折角なのでこれも飲んでみて」とPascalさんが注いでくれたのはGG!「これは選りすぐりのブドウで造っているからね。畑はガイゼンハイマー・クラウザーヴェグで、土壌は石灰質のレスレームに一部泥灰岩を含んでいるんだ。ここもヴォリュームあるワインが出来るよ」あ、これはまた違った香り。グレープフルーツ、桃、アプリコットといった果実の熟した香り。白い花、鼻に抜けるハーブ。貝殻のようなニュアンス。熟した果実味が力強い。何というか、凝縮されていて密度が濃い感じ。そして溶け込んだ酸が骨格を作る。長い余韻にミネラル感。これ、あと数年すると、もっと美味しくなりそう。

Sohns Familie von Weingut Sohns

白ワインを堪能したところで、赤も飲みたくなった。ガイゼンハイマー・メンヒスファッドのシュペートブルグンダーをお願いする。うーん、良い香り。ブラックチェリー、ブラックベリー、カシス。鼻に抜けるハーブに木の香り。濃縮した果実味。活き活きとしている。ミネラル感も。18ヶ月オーク樽で熟成しているとのこと。いや、これはコスパ抜群。とっても美味しい。そしてPascalさんが注いでくれたのはガイゼンハイマー・マウアーヒェンのシュペートブルグンダー。「これはフレンチオークの樽で24ヶ月熟成、20%は新樽を使っているんだ」なるほど、樽からくる香りがいい感じに果実の香りと調和している。スモーキーな香りにチェリー、ブラックベリー、カシス、プラムといった香り。スパイス、ハーブのニュアンス。ドライな熟した果実味が美味しい。タンニンは滑らかでエレガント。優しい酸味も心地良い。余韻は長く、ミネラル感がある。いや、何というか全体がすごくまとまっていて美味しい。
Weingut Sohnsのワイン、色々飲んでみて感じるのは活き活きとした味わいだ。しっかりとした酸味と凝縮した果実味があるのは勿論だけれども、これらがとてもよく調和している。ケラーマイスターのPascalさんの技術、有機農法にこだわったブドウ造りなど、様々な努力の賜物だろう。ガイゼンハイムというお土地柄もあり、ガイゼンハイム大学と良い協力関係を築いていることも強みだ。強力な絆で結ばれたSohns家のワイン造り、どのように発展していくのか本当に楽しみ!
それにしても、購入したワインを抱えての車までの道のりは、超しんどかったです。。。

Weingut Sohns

試飲したワイン
2021 Cuvée Pascal Brut
2018 Cuvée Pascal Brut Nature
2022 Weißburgunder trocken
2020 Geisenheimer Mönchspfad Weißburgunder M trocken
2021 Geisenheimer Riesling trocken
2020 Winkeler Hasensprung Riesling trocken
2021 Lorchhäuser Seligmacher Riesling trocken
2021 Geisenheimer Kläuserweg Riesling RGG trocken
2020 Geisenheimer Mönchspfad Spätburgunder trocken
2019 Geisenheimer Mäuerchen Spätburgunder M trocken

畑面積:10ha
生産量:70,000本/年
上級畑:Geisenheimer Kläuserweg、Lorchhäuser Seligmacher、Geisenheimer Fuchsberg、Winkeler Hasensprung、Geisenheimer Mäuerchen、
    Geisenheimer Mönchspfad、
土壌:GK/石灰質レスレーム・泥灰土、LS/粘板岩、GF/レスレーム・泥灰土、WH/黄土、GMä/石灰質黄土、GMö/石灰質黄土・レスレーム
栽培種:70%リースリング、20%シュペートブルグンダー、7%ヴァイスブルグンダー、3%ローザシャルドネ
BIO

ゾンズ醸造所ホームページ

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