Weingut Wolfgang Mertes

Herr Mertes von Weingut Wolfgang Mertes
Wolfgangさん

2023年8月16日(水)
モーゼル川の上流に向け車を走らせると、上流域に差し掛かるところ、トリアーの手前にルーヴァー村がある。ドイツワイン好きにはお馴染みのモーゼル・ザール・ルーヴァー地域を構成するルーヴァー川は、この村でモーゼル川と合流する。モーゼル川を離れ、ルーヴァー川に沿った州道149号線を進む。徐々に標高が上がっていく。風景はもう山の中。10分ほど車を走らせたところで、今日の目的地、Weingut Wolfgang Mertesがあるヴァルドラッハ村を示す標識を通り過ぎた。そのまま村の外縁部を通る州道を進むと、あった。右手にMERTESの文字が書かれた看板。着いた着いたと看板の横に車を止め、下り坂を歩いて敷地に入っていく。建物が2つ。右手の建物には壁にWeingut Heinrich Mertesの文字。左手の建物の前に、テーブルと椅子があり、女性が座っていた。「ああ、あなたたちWolfgangと約束してた人だね」と、Wolfgangさんを呼んでくれた。程なくWolfgangさんが現れ、「やあ、ようこそ!」と、先ほどの右手の建物に案内してくれた。
Weingut Wolfgang Mertesは、Wolfgangさんのご両親であるHeinrichさんとAlbertaさんが設立した。元々はブドウの栽培を行なっており、最初のワインを瓶詰めしたのは1953年とのこと。HeinrichさんとAlbertaさんがワイナリーを営む間、Wolfgangさんはワイン醸造とブドウ栽培の教育を受け、多くのワイナリーでキャリアを重ねた。NahewinzerやMosellandといった大規模ワイン生産者での技術マネージャー、モーゼル・ザール・ルーヴァーワイン生産者組合の運営責任者、そして2020年までの16年間は、1349年設立の有名なWeingut Reichsgraf von Kesselstadtで運営責任者兼ケラーマイスターを務めていた。また、2021年からは、Weingut von Hövelをケラーマイスターとしてサポートしている。このような仕事の傍で、Wolfgangさんはご両親のワイナリー経営に参画してきた。そして2000年にはご両親のワイナリーを引き継ぎ、ルーヴァー地域ならではのフレッシュでフルーティ、爽快なワイン造りを実践している。

Weingut Wolfgang Mertes

「では、まずはこれから試してみて」と、注いでくれたのはルーヴァー・リースリング。あー、これフレッシュ。レモン、ライムの香り。完熟した果実味と酸が尾を引く長い余韻。そしてミネラル感。いや、典型的な美味しいリースリングワインだ。次はリースリングカビネ。これもフレッシュ。柑橘系の良い香り。ハーブのニュアンスも。口に含むと、フルーティーで活き活きとした果実味。これに溶け込んだ酸が良く調和している。「このワインのブドウはゾンネンベルクのものなんだ。風化した粘板岩の土壌で、フルーティでエレガントなリースリングが出来るんだ」とWolfgangさんが説明してくれる。青色粘板岩と灰色粘板岩が混じった土壌で、森の端に近いため少し涼しくなっているとのこと。
次に注いでくれたのはリースリングのシュペートレーゼ。「これはマイゼンベルクのブドウで造っているよ。土壌は灰色粘板岩で、力強いリースリングが出来るんだ」うん、これ、凝縮した果実味が美味しい。そこに酸がとても良く調和している。そしてミネラル感が特徴的。
「次はアルテレーベンをどうぞ。これもマイゼンベルクのリースリングで、樹齢は50年以上なんだよ」あー、これも良い香り。ハーブとスパイスのニュアンスを感じる。ジューシーな果実味に、酸味が特徴的。この酸味が果実味と調和して全体をまとめている。いや、これ好きかも。
「折角なのでグラウブルグンダーも飲んでみて。これはゾンネンベルクのブドウだよ。これまで飲んできたワインは、ステンレスタンクで自然発酵したものだけど、このグラウブルグンダーの醸造は、木樽で自然発酵したもの50%とステンレスタンクで純粋酵母で発酵させたもの50%なんだ」おー、これもフレッシュ。完熟した果実味が美味しい。酸味があるが、穏やかで優しく感じる。

Weingut Wolfgang Mertes

ずっとトロッケンのワインを試飲してきたところで、Wolfgangさんはファインヘルプを勧めてくれる。ゾンネンベルクのリースリングで、珪岩を多く含む場所のブドウとのこと。あー、これミネラル感がある。これがテロワールの違いなのかなぁと思う。そして、これもフレッシュでフルーティ。ファインヘルプだけれども酸と良く調和して爽快な飲み口。そして次のファインヘルプは同じくゾンネンベルクのシュペートレーゼ。ヴィンテージは少し古めの2018年。うん、これもフレッシュ。2018年ものとは思えない。そして甘みと酸味が見事に調和している。そして深みがある。
「君たちが辛口好きってのは分かってるんだけど、最後に甘いやつも飲んでみる?」うんうんと頷くと、マイゼンベルクのシュペートレーゼを注いでくれた。おー、これ、甘さを伴う濃縮した果実味の香りが豊か。飲んでみると、いや、甘い。しかし酸のおかげか決して甘ったるくはない。そして深みを感じる。
それにしても、Wolfgangさんのワインはどれもフレッシュな果実味と酸が活き活きとしている。ルーヴァースタイルのワインを、この家族のワイナリーで追求することへの使命感、あるいは情熱のようなものを感じる。
ところで、不覚にも今回は赤ワインの試飲をしなかったが、Wolfgangさんはルーヴァー地域で初めてシュペートブルグンダーを導入した人物として知られる。1987年のことだ。そして今や、ワイナリーで栽培しているブドウの3分の1はシュペートブルグンダー。グラウブルグンダーと併せて全体の4割を占めるブルグンダー種のワイン造りも、このワイナリーの大きな特徴となっている。多くのワイナリーで責任ある立場を務めたWolfgangさんが、その豊富な知識と経験、それに情熱を注ぎ込むこの家族のワイナリー、これからも追いかけさせていただきます!

Weingut Wolfgang Mertes

試飲したワイン
2021 Ruwer Riesling trocken
2022 Sonnenberg Riesling Kabinett trocken
2022 Meisenberg Riesling Spätlese trocken
2022 Meisenberg Alte Reben Riesling trocken
2021 Sonnenberg Grauburgunder trocken
2022 Sonnenberg Quarzitschiefer Riesling feinherb
2018 Sonnenberg Riesling Spätlese feinherb
2017 Meisenberg Riesling Spätlese

畑面積:2ha
生産量:15,000本/年
上級畑:Waldracher Sonnenberg、Waldracher Meisenberg
土壌:WS/青色粘板岩・灰色粘板岩・珪岩を含む粘板岩、WM/灰色粘板岩
栽培種:60%リースリング、32%シュペートブルグンダー、8%グラウブルグンダー

ウォルフガング・メルテス醸造所ホームページ

Follow me!