Weingut Robert König
2019年9月10日(火)
つぐみ横丁には目もくれず、リューデスハイムの街を抜ける。丘を登っていくと、周囲はブドウ畑。このリューデスハイムの丘は、丘の上でアスマンハウゼンの丘と繋がっている。丘の最上部は、当たり前だが道は平坦となり、周りの風景も穀物の耕作地や森に変わる。さて、丘の上にあるアウルハウゼン村を横切ると、周りに何もなくなった。耕作地らしき土地が広がる。道は続いていたが、舗装もなくなった。少し不安に思いつつ車を走らせること3分、道は森に続く。すると、すぐにパッと視界が開け、立派な門が現れた。Weingut Robert Königの文字が見える。ここだ。門の先の広い敷地は芝生の緑が映えて気持ちが良い。奥にクリーム色の大きな建物が見える。敷地内の駐車スペースに車を停め外に出る。広々として立派だなぁなどと思いながら建物に入っていき声をかけると、販売担当で事務所を仕切るRichardさんが笑顔で現れた。髭がなかなかカッコいい。
Robert Königの歴史は長い。家業としてのブドウ栽培は、少なくとも1704年には始められていた。1980年、それまでは他の事業の傍らワインを造っていたところ、現当主Philippさんの祖父Robertさんと父Robert juniorさんが、家業としてワイナリーに専念することとし、施設と畑を拡張していった。1989年にはVDPメンバーとなり、赤ワインスペシャリストとして確固たる地位を築く。ところが、2015年、当主を務めていたRobert jun.さんが早逝し、当時19歳、ガイゼンハイムで学んでいたPhilippさんが後を継ぐことになった。こんな若さで当主になるなんて、本人も想像だにしなかっただろう。家族の伝統を継承する決意をしたPhilippさんには、ただただ頭がさがる。
さて、そこは試飲もできるワイン販売スペースとなっていた。壁は清潔感のあるオフホワイトで統一されている。入ってすぐの壁に、Robert jun.さんを含む歴代当主の肖像画が飾られていた。そして、奥の壁には赤くモダンな飾り棚が設えられており、綺麗にワインが並べられている。
試飲をお願いすると、Richardさんは最初に、地元アスマンハウゼンの畑HöllenbergのPURを注いでくれた。なるほどー、素直な果実味。典型的なベリーの香りに加え花の香りも。味わいは軽快で爽やか。心地の良いワインだ。
「2017年のヴィンテージから、赤ワインはPUR、EMPOR、ZENITのカテゴリーでリリースしているんだ。PURは、果実の良さを感じることができると思うよ」
3つのカテゴリーは全ての畑に導入されており、PURは熟したブドウを大樽で仕込んだもの、EMPORは最も日当たりの良い場所からより遅く収穫したブドウをより長い時間樽熟成させたもの、 ZENITはEMPORを仕込んだ樽の中から良いものを選び、さらにオーク樽で熟成させたものとのこと。消費者の目から見ると、とても分かり易いシステムだ。
次に注いでくれたのは、リューデスハイムの畑DrachensteinのEMPOR。こちらはよりタンニンが感じられ、しっかりとした味わい。酸味があり、フレッシュ感がある。また、同じく素直な果実味で、ワイナリーの特徴が感じられる。
次はHöllenbergに戻ってEMPOR。うん、確かにPURとは違った味わい。果実味の熟成感と濃縮感が違う。何というか、PURが果実ならこちらはタルトっぽい。オーク由来の香りが酸味のある果実味と調和して美味しい。
それにしても、近年ドイツの赤ワインはとても美味しくなっている。気候の変化もあるかもしれないが、味自体が洗練されてきている。自然に向き合う姿勢と醸造技術がいい感じで統合されて来ているのを感じる。素直な果実味に好感が持てるRobert König、Philippさんの若い力でどんな発展を見せるか楽しみ!
試飲したワイン
2017 Assmannshäuser Höllenberg Spätburgunder PUR trocken
2017 Rüdesheimer Drachenstein Spätburgunder EMPOR trocken
2017 Assmannshäuser Höllenberg Spätburgunder EMPOR trocken
畑面積:7.5ha
生産量:45,000本/年
上級畑:Assmannshäuser Höllenberg、Assmannshäuser Frankenthal、Rüdesheimer Drachenstein
土壌:AH/風化千枚岩、AF/一部に珪岩を含む粘板岩、RD/下層に多くの珪岩を含む黄土(レス)ローム層
栽培種:90%シュペートブルグンダー、5%リースリング、2%ヴァイスブルグンダー、2%フリューブルグンダー、1%その他