Weingut Peter Jakob Kühn

Frau Angela Kühn von Weingut Peter Jakob Kühn
Angelaさん

2019年9月10日(火)
ライン川沿いの国道を進みエストリッヒの街中に入る。ちょっと行ったところでハンドルを切り、北に向かう。ブドウ畑の斜面に向かう道だ。家並みが途切れ、ちょうどブドウ畑地帯になるところにPeter Jakob Kühnはあった。奥行きがありそうな赤い屋根に白い壁の建物。ガラス張りの扉から中に入ると、そこは、30人くらいは入れそうな広々としたヴィノテーク(ワインの試飲・販売スペース)。いや、こりゃ綺麗な部屋だ。オフホワイトの壁に、統一された明るい色調の木製の調度類。中央にワインをサーブできるバーカウンターがあり、その周辺に背の高い丸テーブルと椅子が配置されている。外に向いた壁は大きなガラス戸になっており、明るい日差しが気持ちいい。内側の壁一面に棚が設えてあり、ワインが並べられている。そして、何よりも目を引くのが天井からいくつも下がる大きなグラスホルダーだ。グラスがかけられたそれは、まるでシャンデリアの様。部屋の様子に見とれていると、奥様のAngelaさんがにこやかな顔で現れた。
Peter Jakob Kühnは1786年創業。フルダ領主司教がヨハニスベルクにリースリングを栽培するよう命じたのが1760年頃と言われているから、まさにリースリングの普及と発展とともに歩んできたワイナリーだ。1979年にワイナリーを引き継いだPeter JakobさんとAngelaさんはワインの高品質化を推し進め、2002年にはVDPメンバーになった。大きな転機は、1991年のビオ農法への転換と、2004年のビオディナミ農法への更なる転換だ。今や、Peter Jakob Kühnは、ドイツのトップワイナリーと評価されている。
「こんにちは。今日はうちのワインをしっかり味わってね」と、Angelaさんは最初に基本のリースリングトロッケンを注いでくれた。”Jacobus”と名付けられている。おー、活気がある!しっかりとした味わい。
「これはグーツワインだけど、うちのワインの良さを感じてもらえると思うわ。うちのワインは全て、栽培もそうだけど、醸造も自然の力を取り入れているの」栽培はもちろんビオディナミ。そして手摘みはもちろん、数時間かけた優しい圧搾、野生酵母による自然発酵など、グーツワインといえども手抜きはない。
次に村名ワインの”Quarzit”。これはまた違った味わい。酸っぱめの柑橘系の果実味にスパイスのニュアンス。濃厚。だけどスッキリしてエレガント。そしてこれも活気がある。
「次はエルステラーゲのHallgartenr Hendelberg。1年間熟成させているので、複雑さも出ていると思うわ」なるほど。木の香りやハーブの香りがする。味わいは同様に活気があり濃厚な果実味。スパイシーな感じもする。
そして試飲はGGへ。GGは2年間熟成させているとのこと。まずSankt Nikolaus。いや、何というかボリューム感がある。ハーブやスパイス、ナッツのような香り。濃厚な果実味にエレガントな酸。いや、美味い。次のDoosbergも同様に美味しい。よりグリーンというか、草や花のニュアンスがある。また塩味のミネラル感が特徴的。全てのワインで感じられるある種の活気は、ビオディナミのなせる業か。
「甘いワインも美味しいのよ」と、今度はLenchenのシュペートレーゼ。いや、エレガント、そしてジューシー。酸味がいい感じで溶け込んでいる。そして、次は何とLenchenのベーレンアウスレーゼ!いや、告白するが、ヘッフェもレーゼもベーレンアウスレーゼを飲むのは初めて。まあ、もともと辛口好きということもあるが、ベーレンアウスレーゼはお値段的に手が出ない。ここにきて、しかも超一流ワイナリーのやつを飲むことになろうとは!
俄かに緊張する。まず香り。いや、こりゃ蜜だ。いろんな熟した果物や花の香りがする。飲んでみる。粘性を持った液体が、トロッと舌を包む。うわっ、やっぱり蜜だ。熟した果実味が滑らかに広がる。蜜の甘さの中にもしっかりとした味の骨格と酸味を感じる。いや、エレガントとしか言いようがない。ホント、ありがとうございました。
今年(2019年)、Peter Jakobさんは当主の座を息子さんのPeter Bernhardさんに引き継いだ。そして、Angelaさんと同じようにPeter Bernhardさんの奥様のViktoriaさんが運営に参画する。ご両親が確立した高品質ワイナリーをPeter BernhardさんとViktoriaさんがどのように発展させていくのか、本当に目が離せない!

試飲したワイン
2018 ”Jacobus” Riesling trocken
2018 Hallgarten Riesling “Rheinschiefer” trocken
2018 Oestrich Riesling “Quarzit” trocken
2017 Hallgartener Hendelberg trocken
2017 Sankt Nikolaus “GG”
2017 Doosberg “GG”
2018 Lenchen Spätlese
2018 Lenchen Beerenauslese

畑面積:21ha
生産量:100,000本/年
上級畑:Oestricher Lenchen、Oestricher Doosberg、Mittelheimer Sankt Nikolaus、Hallgartener Hendelberg
土壌:OL/黄土(レス)・鉄分を含む珪岩、OD/黄土(レス)・灰色珪岩、MSt.N/黄土(レス)、HH/雑色粘板岩
栽培種:95%リースリング、5%シュペートブルグンダー
BIO

ピーター・ヤコブ・キューン醸造所ホームページ

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