Weingut Jakoby-Mathy
2019年9月8日(日)
モーゼル川中流域、左岸を走る国道53号線(モーゼルワイン通り)沿いにあるキンハイム。油断しているとあっという間に通り過ぎてしまう小さな町だけど、たくさんのワイナリーがある。国道沿いに車を停め、徒歩で5分ほど。国道から2、3本内側のひっそりした小道にJakoby-Mathyはある。隣り合う建物に挟まれたそこは、看板もなく、何も知らなければワイナリーとは気づかない。呼び鈴を押すと、程なく扉が開いた。何だか優しそうなPeter Jakobyさんが出迎えてくれた。扉の内側は2階へ続く階段になっている。ついていくと、登りきった左手の部屋に案内された。アンティークの調度品が置かれ、いい雰囲気。いや、ドイツのお家に来たなあって感じで嬉しくなる。
Jakoby家は、1857年からこの地でワイン造りに関わってきた。一貫した経営哲学は、「自然と調和して良いワインを造る」。もともとは栽培したブドウを地元のワイナリーに提供していたのだが、1959年、先代のNikolausさんが自らワインを造り始め、今のワイナリーの礎を築いた。
Peterさんは、お父さんである当主のErichさんと醸造責任者を務めている。「まずはこれ。最近造り始めたんだけど」と勧めてくれたのは、他のワインと違って魚介類のイラストが入った楽しいラベルが特徴的な”FANG DES TAGES(本日のおすすめ)”。飲んでみると、果実味と酸味が優しい感じで調和しており、何というか、とても飲みやすい。体にスムーズに入ってくる感じで、何だかいつまでも飲んでいたくなる。「これ、ほぼほぼリースリングだけど、いくつかのブドウをブレンドしているんだ。なかなか美味しいでしょ?」うんうんと頷く。次にJakoby-Mathyの看板シリーズ”Berg-Tour(山歩き)”から。まずAufbruch(出発)と名付けられたリースリングトロッケン。爽やかな果実味と酸味が心地よい。後味にミネラル感を感じる。次にリースリングカビネトロッケンのAufstieg(登り道)。これも心地よい。さらに豊かな果実味が感じられると共に、繊細な味わい。そしてリースリングシュペートレーゼトロッケンのBergspitze(山頂)。これ、ガツンとくる強さを感じる。ハーブのようなアロマが感じられ、後味のミネラル感と共に味わいも複雑。いや、美味い。ここまで、Jakoby家所有の2つの畑のうちHubertuslayからのワインを飲んだが、最後にもう1つの畑Rosenbergのブドウから造ったリースリングアウスレーゼを勧められた。実は、Jakoby家の甘口ワインは評価が高い。う〜ん。やはり、甘い。普段は決して飲まないタイプ。でも、蜜のような甘さの中に花の香りが感じられ、また、酸味のせいか甘ったるさを感じない。このワインもそうだが、Jakoby家のワインは、とても丁寧に造ってんだろうなーって感じがする。まあ、Peterさんの物腰柔らかく丁寧な所作を見て、そう思ってしまっているような気もするが。今日の結論。Jakoby-Mathyは丁寧!
試飲したワイン
2018 FANG DES TAGES Cuvée trocken
2018 Riesling trocken “Aufbruch”
2018 Riesling Kabinett trocken “Aufstieg”
2018 Riesling Spätlese trocken “Bergspitze”
2015 ROSENBERG Auslese “Eulenlay”
畑面積:4.5ha
生産量:40,000本/年
上級畑:Kinheimer Hubertuslay、Kinheimer Rosenberg
土壌:KH 青色/灰色粘板岩、KR 青色粘板岩
栽培種:80%リースリング、10%ミュラートウルガウ、10%シュペートブルグンダー